SSブログ

新司法試験合格発表 [弁護士・法律・裁判]

9月10日に今年の新司法試験の合格者が発表になりました。
今年の合格者数は2043人で,試験前に想定していた合格者数2500~2900人を大幅に割り込みました。想定の合格者数を割り込んだのは,昨年からでしたが,今年は司法試験合格者を2010年ころには3000人にするという前提で増やしていこうという政府の方針にもかかわらず,前年の合格者数を下回るという結果になってしまいました。

このような結果になってしまった理由は単純なことで,司法試験委員会の要求する水準に達している受験者がこの程度しかいなかったということなのですが,受験生にとっては切実な問題です。

法科大学院設立の際の構想では,合格率7~8割という想定で始めたのに,実際には,今年の合格者が3割を割り込むということなので,7~8割の合格率を信じて法科大学院に入った学生にとっては,騙されたという思いを抱くこともあるのではないでしょうか。

ただ,このように想定外の低い合格率にとどまった理由は,当初想定していた以上に法科大学院が設置されてしまったということにも原因があります。(これは法務省と法科大学院の設置を認可する文部科学省との間の縦割り行政の弊害だと思います。)そのため,本来であれば法科大学院の入学試験でふるい落とされるようなレベルの学生が入学を許され,その人たちが法科大学院の教育だけでは合格レベルに達することができずに合格率を下げてしまっているという面も否定できないでしょう。

また,今年度は,受験回数制限によって,法科大学院を卒業したけれども次年度以降は新司法試験を受験できないという人たちも500名近い人数に達しているということです。

私は,私たちが受験した旧司法試験は,難しすぎるという批判や受験技術偏重になるという批判はあったものの,どのような境遇にある人でも等しく受験する機会が保障され,本人の努力次第で法曹への道が開けるという意味で,最も公平な試験ではなかったかと思っています。現在の,法科大学院を経なければ受験できないという制度は,経済的に恵まれない人の挑戦の機会さえ奪ってしまうことになりかねません。

合格者の年齢を引き下げる,あるいは多様な価値観・経験を持った人に法曹界で活躍してもらいたいという制度の目的は結構なのですが,実際には,私たちが合格したころと比較しても合格者の平均年齢は1歳程度しか下がっていませんし(合格者数を今のレベルまで広げれば,旧制度の試験でも平均年齢の引き下げは十分に可能です。),多様な経験を持つ法学未修者の合格率は全体の合格率をかなり下回っているので,この制度になって当初の目的を達成できているのかという点にはかなり疑問があると言わざるを得ません。

そうはいっても,すでに制度は動き出していて,今更昔の制度に戻すことは容易ではないでしょうから,奨学金制度を充実させるなど,意欲のある優秀な人材が経済的な理由から法曹への道を断念することのないような制度の構築を進めていくことが必要ではないかと感じています。


*****************************************************************
 会社の経営についての相談、研修講師、法律に関する勉強会の依頼
 相続、労働、債務整理・・・お悩みのかたはまず「プロ」に相談を!
 詳しくは、マスダの所属する札幌総合法律事務所http://www.sapporo-sogo-lo.com/
 または
 コンサル弁護士マスダオフィシャルウェブサイトhttp://www.masudaweb.jp/へどうぞ!


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

ブログを作る(無料) powered by SSブログ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。