為替デリバティブの恐怖-その実態と対策(1) [企業経営・経済]
為替デリバティブ取引で経営危機に陥っている企業が少なくありません。デリバティブは金融派生商品の総称ですが、企業の為替リスクを回避するためと称して金融機関が売り込んだものが、最近の円高傾向により企業にとって大きな損失となっているのです。
この契約は、取引市場があってその市場の取引を業者が仲介する株式や商品先物取引などと違い、金融機関と企業との相対(あいたい)取引なので、企業が為替変動で利益を出した時には金融機関がそれだけ損をすることになりますし、逆の場合には金融機関が利益を得ることになります。
市場の仲介をするだけの取引であれば仲介業者は手数料を受け取るだけなので、顧客から多くの利益を得ようとするときには手数料を受け取れる取引を活発に行うしかないのですが、相対取引の場合には、金融機関が手数料よりもはるかに大きな利益を得るチャンスがあるのです。
ここまで説明すると、為替が円安になればその分金融機関が損をするのだからお互い様ではないかという感想を持つ方もいるかもしれませんが、多くの取引では、為替が一定の割合を超えて円安に振れると契約が失効するという特約が付いているので、金融機関が被る損失は限定的です。加えて、金融機関は、為替変動を予測した時には、契約高に相当する金額の外貨を実際に購入しておけば損失を回避することも可能です。外国為替市場に直接アクセスできる金融機関にとって、顧客企業とのデリバティブ契約はローリスク・ハイリターンのかなりうまみのある取引といえるでしょう。
このように金融機関側には損失回避の手段があるのに、企業側は、当初の契約で定めたレートで5年前後の一定期間、定期的に外貨の売買をしなければならず、企業側の損失が広がるときには契約の失効特約はありませんので、昨今の未曽有の円高の状況になったとしても、当初の契約通り外貨を売買しなければならないので、その損失は計り知れない金額になっているのです。
金融機関がデリバティブ取引を働きかけた企業の多くは、本業で利益を出している優良企業なので、何とか持ちこたえている企業もありますが、内情はキャッシュが不足して火の車という状態の企業も少なくありません。
ただ、大きな損失を出していることが外部に漏れると、大きな信用問題に発展してしまう恐れもあるので、損失を被った経営者の多くはじっと我慢しているのです。
為替デリバティブ取引については、上記以外にも様々な問題がありますので、今回から数回に分けて、為替デリバティブの恐ろしさと、解決の方法についてアップしていきたいと思います。
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この契約は、取引市場があってその市場の取引を業者が仲介する株式や商品先物取引などと違い、金融機関と企業との相対(あいたい)取引なので、企業が為替変動で利益を出した時には金融機関がそれだけ損をすることになりますし、逆の場合には金融機関が利益を得ることになります。
市場の仲介をするだけの取引であれば仲介業者は手数料を受け取るだけなので、顧客から多くの利益を得ようとするときには手数料を受け取れる取引を活発に行うしかないのですが、相対取引の場合には、金融機関が手数料よりもはるかに大きな利益を得るチャンスがあるのです。
ここまで説明すると、為替が円安になればその分金融機関が損をするのだからお互い様ではないかという感想を持つ方もいるかもしれませんが、多くの取引では、為替が一定の割合を超えて円安に振れると契約が失効するという特約が付いているので、金融機関が被る損失は限定的です。加えて、金融機関は、為替変動を予測した時には、契約高に相当する金額の外貨を実際に購入しておけば損失を回避することも可能です。外国為替市場に直接アクセスできる金融機関にとって、顧客企業とのデリバティブ契約はローリスク・ハイリターンのかなりうまみのある取引といえるでしょう。
このように金融機関側には損失回避の手段があるのに、企業側は、当初の契約で定めたレートで5年前後の一定期間、定期的に外貨の売買をしなければならず、企業側の損失が広がるときには契約の失効特約はありませんので、昨今の未曽有の円高の状況になったとしても、当初の契約通り外貨を売買しなければならないので、その損失は計り知れない金額になっているのです。
金融機関がデリバティブ取引を働きかけた企業の多くは、本業で利益を出している優良企業なので、何とか持ちこたえている企業もありますが、内情はキャッシュが不足して火の車という状態の企業も少なくありません。
ただ、大きな損失を出していることが外部に漏れると、大きな信用問題に発展してしまう恐れもあるので、損失を被った経営者の多くはじっと我慢しているのです。
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