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年末にDVDレンタルする方へ-延滞料の怖い話- [弁護士・法律・裁判]

これからの年末・年始、自宅でレンタルDVDを借りて楽しむ方も多いと思いますが、レンタルDVDを期限までに返さないと延滞料が取られるということは当然ご存じだと思います。ところが、忙しさにまぎれたり、友人の家で一緒に見て忘れてしまったりといったことで、延滞料がかかると分かってはいても返却をしないままになってしまう人もいるようです。 

延滞料は、1日につき300円程度に設定されていることが多いようですが、たとえば3本借りて1日延滞すると900円、1か月だと2万7000円、10か月だと27万円になってしまうという恐ろしい契約です。通常長期間返却しない人は借りたDVDの所在が分からなくなってしまっていることが多いので、なかなか店の方に連絡しにくいということもあって長期延滞という事態になってしまうのでしょう。

お店の方でも、放置はできないので延滞料の請求をすることになるのですが、最近ではレンタルショップから直接請求するのではなく、その請求業務を代行する業者も現れているようです。(このような業者の行為は、弁護士法違反の非弁行為に該当する可能性が高く、それ自体かなり問題です。)

先日私が相談を受けた事案もそんな業者からの請求に関するものでしたが、請求のはがきには、延滞内容の詳細も記載されず、「延滞料に時効はありません」「連絡がなければご自宅、勤務先に連絡することになります」などと脅しめいた事が書かれていました。この文言は、いわゆる架空請求のときに良く使われたものとほとんど変わりません。

このような通知が来ると、ビビってしまって業者に連絡してしまい、そこで更に不安感をあおるようなことを言われて、言いなりになってお金をむしられるというのが架空請求のパターンですが、DVDの延滞料については、どうやら契約に基づく請求のようです。

日本の法律は基本的に契約自由の原則があり、当事者が納得して契約したものであれば有効というのが原則なので、このような多額の延滞料も支払わなければならないと思われがちですが、本当に支払わなければならないのかというと、そうならない可能性も結構あると思われます。

消費者契約法の10条には、民法の公序良俗に関する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する契約は無効とするという規定があり、この条項の趣旨からは、このような多額の延滞料を請求することが公序良俗に反するものであればその部分の契約は無効ということになるからです。

それではどの程度までの請求であれば公序良俗違反とならないかということなのですが、長期間返却しなかったとしても、お店にとってはそのDVDが無くなってしまった以上の損害は発生しないと思われますので、借りたDVDを破損・紛失してしまった場合の賠償金額を超える請求は無効と考える余地は十分にあるでしょう。

そこで、そのような主張をして交渉することになる訳ですが、相手は契約を盾にとって強硬に請求してきますので、理屈の上ではこちらにも言い分があったとしても、やはりそんな事態を招かないのが一番です。万が一、多額の違約金を請求される事態になったときには弁護士に相談するのも良いですが、なにより大事なのは、見終わったらさっさと返すことです。

私生活においてもリスク管理は大事なことなので、意味のないリスクは抱えないように注意したいものです。

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11・29 札幌弁護士会臨時総会 [弁護士・法律・裁判]

2011年11月29日17:30から、札幌弁護士会の臨時総会が開催されました。

メインの議題は「法曹人口・法曹養成制度に関する決議の件」と題されていますが、その骨子は司法試験合格者数1000人程度を目標に司法試験合格者を段階的に減少させ、実施状況を検証しつつ適正な合格者数を検討することを政府に求める決議をするというものです。

なぜこの時期にこのような議題で臨時総会を開催しなければならなくなったのか、一般の方は分かりにくいかもしれませんので少し説明します。

話は、2001年6月に、当時の小泉構造改革の一環として、「司法制度改革審議会意見書―21世紀の日本を支える司法制度」が発表され、その中で「国民に身近で利用しやすく、その期待と信頼に応えうる司法を実現すべきという視点」から法曹人口について、2010年ころまでに司法試験合格者数を年間3000人にすることを提言したことから始まっています。

この3000人論は、「法曹に対する需要は量的に増大するとともに、質的に申立人一層多様化・高度化していくことが予想され」「国民が必要とする質と量の放送の確保・向上こそが本質的な課題」であり、「司法試験合格者数は社会の要請に基づいて市場原理によって決定されるべきである」という前提から出されたものです。

そこで、今回の決議なのですが、現実には司法試験の合格者は2007年以降2100人前後にとどまっており、3000人には遠く及ばないにもかかわらず、弁護士の増員ペースが弁護士業界の吸収力をはるかに超えていることから、司法修習を終了しても就職先のない弁護士資格者がここ数年加速度的に増えているという現実を見据えてのものです。

どうしてそうなったかというと、上記の審議会意見書にあった「法曹に対する需要は量的に増大する」という前提が全く現実のものとなっていないからです。弁護士の業界は、ここ数年「過払バブル」と揶揄されるような状況があって、多くの弁護士はそれなりに恩恵を受けていましたが、それはまさにバブルであって、過払訴訟を除いた民事訴訟の件数は横ばいか若干の減少傾向にありました。

この過払バブルのおかげで、ここ数年は大量に業界に参入してくる新人弁護士の就職口もある程度は確保されてきましたが、バブル終焉が近づいた昨今では、債務整理専門で大量に弁護士を雇用していた事務所が若手弁護士との契約を打ち切るだけでなく、その他の多くの事務所も、新人を採用してあげたくても、事務所を維持するのがやっとの仕事量では、リスク回避のために採用を見送るしかないという状況があります。

折から、司法修習生は国から給与を支給される給費制から、生活費に不足する修習生には国が無利息で給与相当額を貸与するという制度が始まろうとしていますが、司法試験受験資格を得るために法科大学院の学費負担をしたうえで、更に修習期間中も無給、加えて、弁護士資格を得ても就職できるかどうかも分からないというのでは、有能な若者たちが私たちの業界を目指すインセンティブは極めて低いものになってしまいます。

その一つの証左として、法科大学院制度開始のころと比較すると、法科大学院志望者の数は4分の1近くまで減少しており、司法試験受験者の数も半分程度まで減少しています。(受験者数の減少が少ないのは、前年度以前に卒業して不合格だった人たちが受験しているからです。)

このままでは、弁護士が多くの有能な若者が目指したいと思う職業ではなくなり、一部の経済的に恵まれている人たちが、今までよりもはるかに楽な競争試験をクリアして弁護士資格を取得するという時代が訪れかねない状況にあるのです。(このような人たちが、弁護士の多数を占める社会を一般の方々が望むでしょうか?)

弁護士が司法試験合格者の減少を求めると業界エゴという批判を受けるのはある意味仕方のないことです。もちろんそのおかげで既存の弁護士にとって厳しい競争が幾分か緩和される面があることは否定できません。

しかし、今日、多くの弁護士が声を上げているのは、自分たちのこともさることながら、後に続く世代がきちんと社会からの負託に応えうるだけのレベルを維持して、社会正義の実現と基本的人権の擁護という弁護士の使命を担い続けられるかという根本に対する危機感からです。

札幌弁護士会の臨時総会は、4時間以上にわたる審議の結果、圧倒的多数で1000人決議案を可決承認しました。

この決議が通ったからといって、国の制度が簡単に変わる訳ではありませんが、弁護士自身が現状について声を挙げなければ、実態は社会に伝わりません。ここからがスタートラインです。

皆さんも、遠い弁護士業界のことと思わずに、社会のインフラとしての弁護士という視点でこの問題をお考えいただけると、この決議を挙げた意味をご理解いただけるのではないかという気がしています。


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自転車は軽車両、道路交通法違反で捕まることもあります [弁護士・法律・裁判]

8月末から、札幌市内で展開しているサイクルシェアリングポロクル(ポロクルのサイトはこちら)に登録して自転車に乗り始めましたが、自分で自転車に乗っていると、無法運転をする自転車に遭遇してびっくりすることがあります。
(朝日新聞HPより ※リンク切れのため、リンク削除しました)

自転車は道路交通法では軽車両に分類され、歩道と車道の区別のあるところは車道通行が原則です。
また、車道を走る場合には左側の端を走行する必要があるのですが、私が車道の左端を走行しているときに対向して走ってくる自転車に遭遇することは珍しくありません。(これは法律違反というだけでなく、すれ違う時に車道中央に大きくはみ出さなければならないので、とても危険です。)

歩道走行を認められている場合も、車道寄りの部分を徐行走行するのが原則です。歩行者の通行を妨げるような場合には、一時停止したり自転車から降りて押して歩くことも必要になります。
歩行者が邪魔だからといって、ベルを鳴らして除けさせるなどということは法律違反ということになるわけです。

ですから、自転車が歩道を走行しているときに歩行者と接触してけがをさせると、歩行者がよほど変な動きをしない限り自転車が悪いということになり、時には高額の損害賠償責任を負うこともあり得ますし、業務上過失傷害などの刑事責任を負わされることもあります。

このような重い責任を自覚して安全運転を心掛けるのは当然として、万が一のために賠償保険にはきっちりとはいっておくことも必要でしょうね。

それと、道路交通法の対象となる軽車両なので、飲酒運転は禁止です。酒気帯び運転で3年以下の懲役又は50万円以下の罰金、酒酔い運転の場合には5年以下の懲役又は100万円以下の罰金となりますので、自転車くらいと軽く考えない方が良いですよ。

警視庁のサイトにこんなページがありましたので、参考にしてください。
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軽い気持ちの著作権侵害の代償は大きいです [弁護士・法律・裁判]

アダルトDVDの違法コピーをネットで販売したとして、9000万円の損害賠償を請求された消防署員のニュースですが、違法コピーはひとたび摘発されると、著作権法違反の犯罪となるだけでなく、そのあとには民事上の損害賠償請求が続いてきます。
(朝日新聞HPより ※リンク切れのため、リンク削除しました)

ちょっとした費用の節約のつもりでコンピュータソフトを違法コピーした場合も、それが摘発されれば(規模が小さければ、逮捕されることはないでしょうが)法的には同様の問題が起こりうるということは意識しておく必要があります。(私の知り合いには、メーカーから委託を受けてソフトウエアの違法コピーを調査していた調査会社もありますので、メーカーは悪質な違法コピーを野放しにするつもりはないはずです。)

職員数十人の職場で、officeソフトを1本しか購入せずに複数のPCにインストールすることも、明らかな違法行為ですし、これくらいの規模であれば民事・刑事両面で重い制裁を受けることもあります。

会社が違法行為を漫然と行っていると、従業員は自分の会社に自信を持てなくなり、業務に取り組むモチベーションも低下することになります。

そのような目に見えない悪影響も考えて、合法的な企業経営を心がけるべきでしょうね。


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非弁提携は犯罪です [弁護士・法律・裁判]

先日のブログで多重会務の話を書きましたが、私が今委員長をしているのは、札幌弁護士会の非弁護士取締委員会という委員会で、弁護士法に違反して弁護士以外の人が報酬を得る目的で法律事務を扱ったり、弁護士以外の人が報酬を得る目的で弁護士に依頼者を紹介するのを取り締まる委員会です。
(朝日新聞HPより ※リンク切れのため、リンク削除しました)

この事件の摘発がどのような経緯でなされたのかは分かりませんが、弁護士法違反の法律事務に関与する行為(これを「非弁行為」といいます。)を見聞きしたときは、その事実を調査したり、犯罪と認識した場合には検察庁に告発したりすることも、私たちの委員会の業務です。

それだけでなく、一般の方が非弁護士の行為によって被害をこうむらないように、このような行為が犯罪行為であるということを啓もうするのも私たちの委員会の業務ということになります。

ですから、非弁護士が法律事務に関与している事実を見聞きした場合。特に、そのことによって不当な報酬を請求されたような場合には、私までご一報ください。


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