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「弁護士業界」勝手に解説-「弁護士費用のお話し」(1) [「弁護士業界」勝手に解説]

一般の皆さんは、弁護士に事件を依頼するといくら支払わなければならないか、おそらく感覚的に理解することは難しいと思います。

外国で弁護士費用が話題になった事件としては、OJシンプソンが殺人の容疑で裁かれた事件があります。アメリカの著名弁護士を10人ほど雇って(当時、この弁護団をドリームチームと呼んだマスコミもありました。)、刑事では無罪を勝ち取ったものの、民事では殺人による損害賠償を認定されてしまいました。そして、この事件のためにシンプソンが支払った弁護士費用は約5億円と言われています。

また、離婚事件などでも外国のセレブの離婚事件だと慰謝料額も莫大な金額になりますが、それに応じて弁護士費用も億を超える金額は珍しくありません。

こんな話を聞いていると、弁護士に仕事を頼んだらいったいいくら取られるのだろうと不安に思うのは無理もないところですが、ご安心ください。日本の庶民でこんな金額の事件に縁のある人はいませんので、そういう人たちの依頼を受ける私たち一般の弁護士にとっても別世界の話です。

日本の弁護士費用の決め方について、一般的に行われているのは、着手金と報酬金の2本立てで費用を支払ってもらうというやり方です。
 ・着手金・・・事件を着手してもらうための費用なので、結果の如何にかかわらず戻らない前提のお金です。(事件途中で弁護士が代理人を辞めてしまった場合に、それまでの仕事の程度に応じて清算することはあります。)
 ・報酬金・・・事件の結果によって得られた依頼者の利益を元に算定されるお金ということになります。

例えていうなら、着手金は『車に入れるガソリンのようなもの』で、それがなければ走らない。報酬金は『馬の前にぶら下げるニンジンのようなもの』で、良い結果が報酬に結び付くので弁護士の尻を叩く効果があるということかもしれません。

どうしてこのような報酬の決め方になったのかというと、それはどちらかというと弁護士側の事情によるのではないかと思いますが、真相は分かりません。
というのも、私が弁護士になった20年以上前には、日弁連が報酬規定を定めており、弁護士はその報酬基準の範囲内で業務を行わなければならないと決められていて、その報酬基準の考えが上記のようなものだったからです。(この報酬規定は独禁法の関係で撤廃され、現在は各弁護士が自由に報酬を決められるということになっていますが、そこに問題も生じています。その辺りは、後の回でご説明します。)

このように決めた事情を推測すると、『事件を受任してもいつ終結するか分からないのに、報酬金以外に弁護士費用を受け取れないのでは事務所を維持できない』と考えたと思われるので、そのために着手金という名の「車のガソリン」のようなお金を入れてもらい、「結果はどうあれ終点まで連れて行ってください」という依頼者のニーズに応えることにしたのではないかという気がします。
報酬金は、結果によって発生するお金ですから、例えば事件が完全敗訴で終わった場合には支払ってもらえないものです。弁護士は、その場合には着手金だけをもらって後は断念するということになります。

このほかに、出張が必要になるような事件では出張の旅費のほかに日当を支払ってもらうことがありますが、それは半日出張で2~3万円、1日出張で5~10万円というのが相場の金額になります。

このように説明しても分かりにくいと思い、今でも多くの弁護士が報酬基準を考える元になっている日弁連の「旧報酬規程」をお示ししたいと考えましたが、とても長くなってしまうのでここでは割愛します。
ネットで検索すると、「弁護士NOBIのぶろぐ」というサイトで旧規定を説明していましたので、そちらをご参照ください。(http://blog.goo.ne.jp/deppa/c/7a6968d662b4f740ca0048e7b4b3cbff

お金の支払を求める事件であれば、係争の利益(依頼者の利益)は分かりやすいかもしれませんが、不動産の明け渡しや離婚事件の場合の利益はいくらなのかということになると途端に分からなくなってしまいます。
「旧報酬規定」では、そのような典型的な事件の報酬の基準も決められていましたが、それがどのような根拠で決められたのか、私たち後の世代の者は実は分かりませんが、もしかすると報酬規定を決めた当時の弁護士の平均的な報酬額を調査して出したのではないかと推測はできます。
では、旧報酬規程ができるまでの弁護士の報酬はどうやって決めていたのかということになりますが、これはおそらく、これは弁護士の側で「必要とするお金」から逆算して決められたのではないかという気もします。

必要とするお金」ということだと、一般的な弁護士の懐具合をご説明しなければなりませんが、少し長くなってしまいましたので、ここから先は次回に続きとさせてください。

当初弁護士費用のことを書こうと思ったときは、2~3回の連載で済むかと思いましたが、ちょっと回数が多くなりそうです。気長にお付き合いください。

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