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大河ドラマ「平清盛」低視聴率の原因は [日記・雑感]

NHKの大河ドラマ「平清盛」が歴代の大河ドラマの中で最低視聴率を更新して終わることになりました。これまでの平均最低視聴率は平成6年に放送された「花の乱」(室町時代の応仁の乱前後を日野富子の生涯とともに描いたドラマ)の14.1%ということですが、「平清盛」はこれを大きく更新する12.0%と断トツの最下位となってしまいました。

私は、最近の大河ドラマはほとんど見ているのですが、視聴者の視点で、私なりに大河ドラマ「平清盛」が低視聴率に終わった原因を探ってみたいと思います。

一般的には、視聴者になじみの薄い平安末期という時代や平家、源氏、朝廷の入り組んだ人間関係が複雑で分かりにくいといったことや、ドラマを録画して見る人の増加などの視聴者のライフスタイルの変化が視聴率の低下につながったという説明がされていますが、私はそれ以上に演出にかなりの問題があったのではないかと思っています。

ここ数年の大河ドラマの演出は、エンターテイメント性を重視するせいか、時代考証も不十分で違和感を覚えることは多かったのですが、今年の演出には違和感を超えて嫌悪感を覚えるような点があり、視聴者に「見たくない」という気持ちを起こさせてしまったことが低視聴率の大きな要因だったのではないかと思っています。

 マスダが「嫌悪感」を覚えたシーン                                   
私が記憶に残っている嫌な演出の一つは、北面の武士として清盛の同僚であった佐藤義清(出家して後に「西行」となった人物)が出家を決意するときに、自分に近づいてきた幼子を足蹴にして家を後にするというシーンでした。何の警戒心もなく父親を慕って近づいてきた幼子をいきなり足蹴にするという行為は、現代なら児童虐待そのものであり、到底社会的に許容されるものではありません。

西行には、「出家の際に衣の裾に取りついて泣く4歳の子を縁から蹴落として家を捨てた」という逸話があるので、そのシーンを再現しようとしたのかもしれませんが、あの場面でそのシーンがどうしても必要なものであったとは思えません。この場面を描写することが視聴者に与える影響に対する想像力をちょっとでも働かせることができれば、敢えてこのような場面を画面上に表現しなくても別の描写をすることはいくらでも可能であったはずです。

むしろ、西行のその時の激しい思いを、このような視聴者に不快感を与えない方法で伝えることが演出家の技量だと思うのですが、残念ながら今回の大河ドラマの制作スタッフには、それだけの演出家がいなかったのでしょう。

もう一つ、私が不快に思った演出は、「鹿ケ谷の陰謀によって清盛の追い落としを図った後白河法皇の近臣・西光が、捕縛されて身動きができないのに対し、清盛が顔面を足蹴にするなどの暴行を執拗に加えた」というシーンです。これも、清盛がそのような行為に及んだという逸話はあるようですが、身動きできない相手に対する一方的な暴行ですから、現代の価値観からすれば到底許容されざる暴挙であり、何も画面で再現する必要のない話です。

これらの描写は、いじめや虐待などでPTSDの症状を持っている人であれば、症状が悪化しかねない極めて問題のある描写であり、良心的な視聴者はそれだけで「見たくない」と思ったのではないでしょうか。(私も良心的な視聴者なので「見たくない」という気持ちも湧きましたが、とりあえず最後まで見届けることにしたというところです。)

このような映像表現は、視聴者に不快感を与えるもので「二度と見たくない」という気持ちにさせたとしても全く不思議のない話で、私は、このような暴力を肯定するかのような演出が、相当程度重く視聴者離れに寄与したと考えています。

 制作者の視聴者目線の欠如                                       
私が不思議に思うのは、どうしてこのような誰もが不快感を抱くような演出がまかり通ってしまったのかということです。NHKの大河ドラマですから、放映までには多くの人のチェックを経ているはずです。表現の自由があるので、演出にもある程度の自由度を認めているのかもしれませんが、それが現代の価値観に明らかに相容れないものであれば、修正を試みるのは当然のことです。

チェックをした人も含めてこの演出に問題がないと考えていたのであれば、視聴者の気持ちに対する想像力が著しく欠如していると思わざるを得ません。

人間は「社会的動物」といわれますが、私たちは多くの人たちとの関わりの中で日々の生活をしています。その関わりを円滑に行うためには、コミュニケーションの受け手の気持ちに対する想像力が不可欠です。想像力を欠くコミュニケーションばかり行っていれば「自己中」といわれて敬遠されるのと同様、受け手の気持ちに対する想像力を欠く番組も敬遠されて見てもらえなくなるのだと思います。

私は、過去に学ぶという意味でも歴史はかなり好きなので、大河ドラマもここ数年は欠かさず見るようにしているのですが、今年の「平清盛」の低視聴率の原因はこのようなところにあったのではないかと想像しています。

 今後の大河ドラマへの期待                                          
来年は、幕末から明治にかけての時代、綾瀬はるかさんが主人公を演じる女性を描くドラマなので、暴力シーンを見ることはなさそうですが、やはり大河ドラマは、主人公の生きざまに共感でき、見るものを元気づけるものであって欲しいものです。

ちなみに、最近私が大河ドラマで描いてほしいと思っているのは二宮尊徳なのですが、名前は知られていても、この人物が何をしたのかはあまり知られていないと思います。その一生は波乱に満ちているとともに、その崇高な生き方が多くの人の共感を呼ぶことは間違いないと思うのですが、NHK関係者の方も考えてくれると良いのですが。


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Maurice

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by Maurice (2023-09-13 23:48) 

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