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食材虚偽表示による「全額返金」の違和感 [ニュース・社会]

阪急阪神ホテルズ系列レストランでの食材虚偽表示を皮切りに、日本中のホテルや著名レストランで『食材表示を誤っていた』という謝罪会見が、これでもかというくらいに続いています。

阪急阪神ホテルズでは、虚偽表示の料理を提供した顧客に対して全額の返金をするという対応をしているようですし、それに倣うホテルやレストランも少なくないと思いますが、私はその対応に違和感を覚えています。

 ■ あなたはレストランを選択するとき、何を基準にしていますか

私たちが通常ホテルや著名レストランに食事をしに行くときに、最近ではネットによってメニューを確認することもあるのでしょうが、そこに行くのはどんな料理を出してくれるのかという調理の仕上がりに対する期待からであって、正直なところ、どんな食材を利用しているのかで行く店を選ぶことはほとんど(個人的には「全く」)ないと思います。

自然志向で有機野菜しか口にしないとか、安全な産地の食材を提供しているという理由で店を選ぶということはあるのかもしれませんが、今回の虚偽表示は、全部は確認していませんが、その類のものとは違うのではないかと思っています。

つまり、顧客が、その店が表示している食材を期待してその店を利用している可能性は極めて低いのではないかというのが私の基本的な疑問です。

考えてみれば、コース料理を選ぶにしても、アラカルトで料理を選定するにしても、出されたメニューから料理を選ぶだけで、同じ店でエビチリや小エビの唐揚げといった料理に食材が違う複数のメニューを提供している店はそう多くはないはずです。

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 ■ 食材の虚偽表示で顧客が実際に被る損害は?

レストランでは料理人が腕を振るって味付けをして料理を提供します。

食材そのものの味を楽しむごく一部の料理を除いては、調理の”腕”に価値を感じて私たちは料金を払っていることの方が多いと思います。そう考えると、食材の違いによって原価が異なることはあったとしても、顧客が被る損害は、「食材費の差額分だけ」ということではないでしょうか。

加えて、料理の価格に占める食材費の割合という問題があります。
料理の価格には、食材費だけでなく、店の賃料や内装費、料理人やサービスを提供する人たちの人件費、調理をするための燃料費や調味料代なども含まれています。ホテルや著名レストランになれば、店構えが立派になり、優秀な人材を確保するために人件費も高くなるということは当然に考えられます。私たちが高級な店に足を運ぶのは、食材のことよりも、店が提供する『トータルなサービス』に価値を感じるからではないでしょうか。

食材の虚偽表示は、そのトータルなサービスの価値を貶めたということはあるにしても、その料理を食べた時に相応の満足感を得られたのであれば、食材の表示が虚偽だったとしても、そのことによって顧客が被った損害はごくわずかなのではないかと思うのです。

 ■ サービスの価値~冷静にもう一度考えてみましょう

翻って、私たち弁護士を含めたいわゆる知的サービス業は、依頼者や相談者の皆様に提供する原材料を持たない仕事です。もちろんサービスの前提となる知識を取得するために相応の時間と費用は費やしていますが、それは料理人も同様でしょう。

「原材料の表示が違っていたら全額返金する」というのであれば、そもそも原材料を持たない私たちの仕事にどんな価値を見出してもらえるのだろうかということが非常に気になります。

食材の虚偽表示に対する全額返金という対応が、それ以外に提供している空間やサービスといった、より本質的なものの価値を損なうことの無いように願いたいと思って今回のブログを書いてみました。

皆さんはどう思いますか?


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Jeana

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by Jeana (2023-09-14 00:58) 

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