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浅田真央選手に見たアスリートとしての矜持 [ニュース・社会]

ソチ冬季オリンピックが終了しました。
多くの皆さんは、テレビ観戦で寝不足の日々がやっと終わったという安堵感と、祭りの後の寂しさを感じていることと思います。

ソチオリンピックでは、日本選手団は海外で行われた冬季オリンピック史上最多の8個のメダルを獲得したということで、成績のうえでは合格点を付けられるのかもしれませんが、メダル獲得種目の多くが新しい種目で、競技人口がまだまだ多くないことを思うと、この成果を手放しで喜ぶことはできません。

その一方で、日本が伝統的に強かったスピードスケートでは、メダル獲得はならず、男女ともに複数メダルも期待されていたフィギュアスケートも、終わってみれば羽生選手の金メダル1個という寂しい結果となってしまいました。

 ■ オリンピックの感動はメダルだけではない~人の心を動かした選手たち

そんなメダル争いとは、別に、敗れ去った選手たちの言動がこれほど私たちの心を打ったオリンピックも少ないような気がします。

絶対的優勝候補とみられていた高梨沙羅選手が、4位に敗れた後に健気に周囲に対する感謝の言葉を述べたことは、あんな小さな女の子に日本中がプレッシャーを背負わせてしまった罪悪感すら覚えさせるものでした。

もう一人日本中が期待していた浅田真央選手もショートプログラムでまさかの16位と出遅れたけれども、失意を乗り越えて翌日のフリープログラムで自己ベストを更新する最高の演技を行い、見ていた私たち日本のファンだけでなく、多くのフィギュア選手たちからも称賛の声が寄せられました。

ネット上では、キムヨナ選手と浅田選手の成績を巡って、浅田選手に不利になるようなルール変更が重なったことや、演技の評価点に異常な開きがあることなどが指摘されましたが、そのような情報から私が感じたのは、今のルールで戦う以上、浅田選手が自身の理想とするプログラムで金メダルを獲得することは極めて難しいことなのではないかということでした。

今のフィギュアのルールは、技の難易度による評価の差よりも出来栄えによる得点の差の方が重視されることになっていることは、フィギュアのルールに詳しくない私でも分かったので多くの人も知っていることだと思います。

現に、今回のソチオリンピックで浅田選手が演じたプログラムとキムヨナ選手が演じたプログラムでは、演技の基礎点は10点近く浅田選手の方が上で、そのうえ浅田選手自身も納得の最高の演技をしたというのに、より易しいプログラムをそつなくこなしたキムヨナ選手の方が高い得点を得る結果になりました。

そのうえ、難しいジャンプに挑戦して失敗すると、基礎点を引かれるほかに、当然演技の出来栄えもマイナス評価になるし、つなぎのスケーティングに対する悪影響もあるなど、難しいジャンプに挑戦することのメリットが余りになさすぎるのが今のフィギュアの採点ルールです。

 ■ 浅田真央選手のこだわり~アスリートとして目指す最高峰

それなら、金メダルを取るために、浅田選手もキムヨナ選手と同じレベルの技を完璧に演じるという選択肢もあったのではないかと思いますが、浅田選手はそのような選択はしませんでした。浅田選手ほどのスケーティング技術をもってすれば、キムヨナ選手と同レベルのプログラムで高得点をたたき出すことはさほど難しいことではなかったのではないかと思いますが、彼女は敢えてそのような道は選ばなかったのです。

失敗することで逆にマイナスの評価になるリスクも厭わずに、多くのライバルたちが飛べないトリプルアクセルに果敢に挑戦して、失敗を重ねても、これが自分の代名詞だと挑戦をやめませんでした。

また、今回のフリープログラムでは、前人未到の6種類のトリプルジャンプ全てを含む8トリプルに挑戦して、一部回転不足はありましたがすべて降りることに成功しました。かつての名選手ミシェル・クワンや今回のオリンピックで引退を表明したロシアの「皇帝」プルシェンコら多くのフィギュア選手が浅田選手の演技を高く評価したのは、難しい技に挑戦することこそがアスリートとして目指す演技の最高峰だということを感じているからなのだと思います。

プルシェンコと言えば、前回のバンクーバーオリンピックで銀メダルに終わった際に、優勝したエヴァン・ライサチェクが4回転を飛ばなかったことに批判的なコメントをしたことを思い出しますが、今回の浅田選手のフリーの演技に対して「真央は本当に素晴らしかった。特にトリプルアクセルはよかった。君は真のファイターだ」とツイートして、難しい技に果敢に挑戦する姿に最大級の賛辞を送っています。

フィギュアスケートが採点競技である以上、どうすれば高い得点を得られるのかという戦術は必要なのかもしれませんが、人間としての能力の限界に挑戦するアスリートとして、自分が目指す最高峰の演技を追求し続けた浅田選手の姿に心打たれるのは、ファンとして応援している私たちだけではないのです。

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ロシアの地方紙の記者が書いた記事があります。
「私は”サムライ”を見た。それはマオ・アサダだ。すでにSPで勝負の行方は分かっていたが、マオは他の女子には誰にもできない3回転半ジャンプに殉じて、ハラキリした」
「”サムライ”にとってメダルが何だ!ハエだ!”サムライ”にとって唯一の勲章は不朽の名声だ」
と熱くつづったそうですが、サムライはともかくとして、高得点を確実にあげることよりもアスリートとしての矜持を選択した浅田選手の気持ちに共感するファンは、このオリンピックの浅田選手のフリーの演技に対して不朽の名声を惜しまないのだと思います。

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