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弁護士の大量増員が「法の下の平等」につながるのだろうか?(2) [弁護士・法律・裁判]

昨日の記事はこちら 弁護士の大量増員が「法の下の平等」につながるのだろうか?(1)

私が見る限り、新しい制度でも、上位500人くらいに入れる能力の人たちのレベルは昔と比較して大きく低下しているとは思えませんが、ぎりぎり合格した人たちのレベルの低下は、肌で感じられるところがあります。


司法試験に合格して司法修習を受けただけで十分な実務の能力が身につくはずもなく、その後は先輩弁護士の事務所に勤務して、指導を受けながら実務の能力を身につけていくというのがこれまでの伝統的な新人弁護士の教育方法でしたが、司法修習生の数が飛躍的に増えてきていることから、新人弁護士を採用して教育できる事務所の数が決定的に不足しており、実務で経験を積むことができない弁護士がいきなり独立開業するという恐ろしい事態が現実のものとなっています。

コラムで述べられている「市場経済は「商品の質」は消費者によっても判断される。「法律の知識」というサービスを提供する弁護士もまたそれを利用する者の評価にさらされるのはやむを得ない。」という論理は、一見すると合理的なように思えるかもしれません。

しかし、一般の方にとって、弁護士に仕事を依頼するというのは一生に1度あるかないかの問題であり、事件を依頼した弁護士が「質」の悪い活動をして、その依頼者の方は二度と同じ弁護士に頼みたくないと思っても、弁護士に依頼しなければならないような経験をすることが一生に2度もないことの方が多いわけですから、消費者の評価で「質」の悪い弁護士が淘汰されるという考えは現実的ではありません。


このように、市場経済の論理で、「質」の悪い弁護士が淘汰されると主張するのは、かなり乱暴な考えかたです。弁護士の「質」が確保されてこそ、依頼者となる人たちが、弁護士の仕事のレベルについて、ある程度の水準にあると信頼して事件を依頼できるのだと考えるべきではないでしょうか。

ある程度経済力があって、自らの人脈で信頼できる弁護士と接触することのできる人たちは困らないでしょうが、弁護士の「質」が低下して本当に困るのは、自分がこれから会いに行く弁護士がどのような人なのか知る手段を持たない人です。(現在では、弁護士と相談する機会すら持てないという方は、司法過疎と言われるごく一部の地域の方たちだけです。弁護士会は司法過疎に対する対策を講じて、いわゆる弁護士ゼロ・ワン地区の解消に努めていますが、そこに弁護士を行き渡らせるために、大量の弁護士を増員することは、弊害の方が大きいために賛成することはできません。)

自分の人生の一大事を託す弁護士が、実際に仕事をしてもらうまでどの程度の実力を持っているのか分からないという社会が「法の下における平等」を実現できる社会なのかどうか、良く考えてみる必要があるのではないでしょうか。


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