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痴漢でっちあげ事件と痴漢冤罪事件 [ニュース・社会]

今年の2月,主犯の男とともに痴漢被害をでっちあげたとして,虚偽告訴などの罪に問われた女性に対し,検察側が懲役4年を求刑したという記事がありました。



検察側が懲役4年を求刑する意味について,一般の方は分からないかもしれませんが,法曹関係者であれば,実刑判決を求めるという趣旨だと理解します。

法律上,執行猶予判決は懲役又は禁錮3年以下の刑にしかつけられないことと,裁判所が執行猶予判決をする場合には,求刑で求められた刑期自体は維持した上で,その刑の執行を○年間猶予するという判決になるのが一般的だからです。

懲役4年の求刑に対して執行猶予判決をするためには,4年の求刑を3年に下げたうえで,更にこれに執行猶予を付けるということになるため,判決をする裁判官にもかなりの心理的な抵抗があることになるため,検察官が懲役3年を超える求刑をしたときには実刑を求める意思だと理解することになるのです。

この痴漢でっち上げは,虚偽の告訴をしてその男性を犯罪者にすることを目的としている訳ではなく,本当の目的は,男性から示談金名目で金をせしめることにある訳ですから,警察機関を悪用した恐喝といっても良いような事件です。

その意味では,重たい刑罰もやむを得ないところです。



ところで,私も,痴漢事件で被告人の弁護をしたこともあります。

多くの痴漢冤罪事件の被害者は,この事件の女性被告人のように被害をでっちあげるのではなく,実際に被害に遭っているのだと思います。そのため,加害者を許せないという気持ちが強くなって,自分が加害者と思った男性に対して強い処罰感情を持ちます。


自分が加害者と名指しした相手が人違いである可能性があると思ってもらうことは,難しいことです。


たまたま,その女性の側に立っていただけで,痴漢といわれてしまった時に,どのように対応するのか,それは非常に難しい問題です。「それでもボクはやってない」という痴漢冤罪事件を取り上げた映画がありましたが,世間の多くが被害者の味方になって非難する中,真実を貫き通すことはとても難しいことです。

そのようなときの弁護人の活動は,真実を解明することもさることながら,捕まってしまった被疑者を励まして,否認を維持することに重きを置くことになります。
客観的な証拠が乏しい事件になると,警察は自白を引き出すためにいろいろな心理的プレッシャーをかけ続けるからです。

このように,否認事件における捜査段階の弁護活動は,事実と異なる供述調書が作られないようにすることが重要なのですが,他にも多くの事件を抱えている中で,毎日のように被疑者に会いに行って励まし続けるのは,とても大変なことです。

外国の刑事事件に関して,弁護人に対する報酬で著名人が多額の支払いをしたという報道がなされることがありますが,残念ながら,我が国では,刑事事件に対する報酬,特に国選事件の報酬はとても低いレベルにあります。

限られた国家予算の中とはいえ,国民の基本的人権擁護のための活動に,もう少し予算を割いてもらっても良いのではないでしょうか。


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