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弁護士刺殺事件に思う [ニュース・社会]

昨日,秋田県弁護士会の元会長である津谷弁護士が離婚事件の元相手方の男性に刺殺されるという痛ましい事件がありました。

津谷弁護士とは直接の面識はありませんが,商品先物取引の被害者救済では全国的に著名な方で,まさに惜しい人材を失ったという印象を持ちました。

テレビで弟さんが話しているのをお聞きすると,社会正義のためには自らの危険を顧みず断固として戦う姿勢をお持ちだったようで尊敬に値する方ですが,一方で昨今の弁護士に対する逆恨みとも思われる加害行為の増加の状況を見ると,戦う姿勢を失う訳にはいかないものの相手方を徒に刺激しない配慮も必要と感じさせられます。

弁護士会には,業務妨害対策委員会といって弁護士業務に関連して弁護士自身が被害者となる暴力事件に対応する委員会もあるのですが,この委員会が実際にできることは,被害の予防のために各弁護士に注意を促し,警察と連携して危険にさらされている弁護士の周辺を警備してもらうことくらいで,今回のように突発的に事件が起こってしまってからでは取り返しがつかないということは何とももどかしいところです。

今年横浜で起きた事件もそうですが,弁護士が業務に関連して相手方から恨みを買う事件の類型では,やはり離婚事件が圧倒的に多いような気がします。夫婦間であれば,自分の理不尽な行動も配偶者が我慢をすることでほころびが表面化しなかったのが,弁護士が代理人として関与することで,配偶者は弁護士に守られて自らの主張をすることになります。そうなると,離婚を求められる側にとって,弁護士は邪魔者と映るのでしょう。

離婚してしまえば,自分はひとりきりになって,鬱々と世間を呪うようになります。その呪いの一番のターゲットが離婚事件で相手方の盾になって自分の要求を撥ねつけた弁護士ということになるのです。

その思いが高じて被害に遭うのでは弁護士もたまったものではありませんが,現在,離婚事件の代理人の業務を認められているのは弁護士だけなので,今後もこの種の逆恨みは尽きないかもしれません。

世間では,弁護士が金銭的に恵まれているという側面ばかりが独り歩きしているような気がしますが,社会正義や依頼者の権利擁護のために自らの身を危険にさらしてでも戦おうとしている弁護士がいることも事実です。

刑事の国選事件も,そのために費やす時間でもらえる報酬額を割ってみると,時給5,000円にも満たない事件は少なくありません。

司法修習生の給費制維持に関する議論の中で,司法修習生はそのほとんどが個人事業者である弁護士になるのに,どうして国がその養成のために給料まで支払う必要があるのかという反対論が出されていますが,このような弁護士業務の実態を知っても同じ感想しか得られないのでしょうか。

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