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年金記録の確認作業 [企業経営・経済]

先日、社会保険庁は、基礎年金番号に未統合のまま「宙に浮いた」約5000万件の年金記録の照合作業について、名寄せ作業による照合を終えたものの、約4割に当たる2025万件が特定できずに残ったと発表されました。


たしか、昨年の参議院議員選挙の際に、政府は3月末までに照合を完了すると公約していたはずなのですが、それが、いつの間にかコンピュータ上の名寄せ作業にすり替わってしまったようです。そして、コンピュータ上の名寄せも、6割しかできなかった現状で、照合作業は約束どおり完了したというのですが、この点については、さすがの舛添大臣も歯切れが悪いようです。

このような作業で照合できなかった案件や、そもそも社会保険庁に残されている年金記録自体が誤っている案件について、収めた当時の証拠がなくても、加入者の話す内容がもっともらしいと認められる場合には年金記録の訂正をすると言う公約に基づいて各地に設けられたのが、年金記録確認第三者委員会という組織です。


私も、今年の1月から、その北海道地区の第三者委員会の委員に選任されて確認作業に携わっています。

議論の中身については、公務員法上の守秘義務があるのでここに書くわけには行かないのですが、この委員会のために費やされている税金の事について触れてみたいと思います。


現在、北海道の委員会は4部会制で、基本的に毎週1回5人の委員が参加して、1回に平均7~8件の案件について審理しています。(継続案件もあるため、1回の委員会で結論を出せるのは5~6件程度にならざるを得ません。)1回の委員会は午後1時半から5時までで、この3時間半でこれだけの案件を検討することになります。

案件の審理については、委員がいきなり生の申立を聞いていたのでは、1日1件の結論を出すことも出来ないので、申立内容の調査に当たる専任の職員が各部会に10人程度ずつ配属されて、それぞれが、証拠のない申立について、申立人やその関係者から話を聞いたり、関係各方面にさまざまな照会をしたりするなどして、役所としても出来る限りの調査をしたうえで、事案を整理して委員会の審理に上げることになります。

その調査のレベルは、初めてこの審理に参加したときに、ここまで詳しく調べるのかと思ったほど、とても詳細なものです。それは、申立人の切実な思いに適切にお応えする必要があるということからなのですが、そのような詳細な調査をしていると、1週間に7~8件を審理するのが精一杯ということになります。

申立人としては、どうして自分の申立について直ぐに結論が出ないのか不満を持つことは当然なのですが、これは、現状の体制では物理的に無理なのです。


関係閣僚会議では、今年の3月までに申立てられた案件は1年以内に結論を出すということにしたということですが、今後1年間に結論を出さなければならない案件数は、北海道地区だけで1000件程度になりますので、現在の体制ではその実現は無理であるため、更に部会を増強する方針のようです。

しかし、その体制強化も全て税金で行われているのです。年金記録を当初からきちんと管理していれば不必要だった経費です。いまのところ、誰かがこの記録確認の経費の責任を取る必要があるという議論は出てきていませんが、計算すると、全国でこの問題に要する経費はとてつもない高額になる可能性があります。

年金の問題は、表に出ている社会保険庁の無駄遣いだけでなく、このような不必要な支出という点でも大きな問題があるということを忘れてはなりません。


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