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橋下大阪府知事に業務停止2か月の懲戒処分 [ニュース・社会]

橋下徹大阪府知事に対して,大阪弁護士会が業務停止2か月の懲戒処分を下しました。

これは,「たかじんのそこまで言って委員会」というテレビの討論番組で,光市で起きた母子殺害事件裁判の弁護団の弁護のやり方に対して,弁護団を許せないと思うなら弁護士会に懲戒請求をかけてもらいたいと働きかけたことが弁護士の品位を失うべき非行に当たると判断されたもので,業務停止2か月は通常であればかなり重い懲戒処分ということができます。(橋下知事自身は,現在弁護士業務を行っていないようなので,実質的に影響は受けないようです。)

弁護士法58条1項は,「所属弁護士会の秩序又は信用を害し,その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは」懲戒を受けると規定しており,橋下弁護士が視聴者に対して大量の懲戒請求を扇動した発言が懲戒事由に当たると判断したものでしょう。

実は,私はこのテレビ番組が結構好きで,毎週録画して見ているくらいなのですが,この発言があった日はたまたま放送時間に家にいたので,生で(番組は録画ですが)見ていました。

この光市の事件の弁護団の弁護方針について批判をするのは結構なのですが,事実関係も調査しないで,大量の懲戒請求を煽る橋下氏の発言は,それを聞いた瞬間唖然として,瞬間的に懲戒ものの発言だと感じていました。

このときに橋下弁護士は,全国から大量の懲戒請求が出されれば,弁護士会も無視はできないというような趣旨の発言をして,懲戒請求があたかも署名運動に似たものであるかのような発言をしていたのですが,これなどは,まともな弁護士としてはあるまじき発言で,法治国家のなんたるかを勘違いしているのではないかとさえ思いました。

この橋下氏の発言を受けて懲戒請求した一般の方たちのなかには,弁護士会から懲戒請求の内容を確認する連絡を受けて,初めて自分の請求の重大性を理解した人もいたようですが,それくらい誤ったメッセージをテレビというマスメディアを使って流した罪は重いでしょう。

刑事弁護は,社会の非難を受けている被告人にも適正な裁判を受ける権利があるという憲法上の保障のもとに弁護人が付けられているので,弁護人自身も世間の非難を浴びる立場になりかねないところがあります。しかし,多くの刑事弁護人は,社会正義の実現のため,適正な裁判のために,被告人を弁護します。それは,対立当事者として絶大な国家権力を背景とした検察官がいるからであり,弁護人が被告人のために精一杯の活動をしなければ,実質的な当事者対等の裁判は実現できないからです。

弁護士であれば,そのような刑事裁判における弁護人の責務は当然分かっているはずであり,仮に弁護団の弁護方針に不満があったとしても,それに対して懲戒請求を煽るようなことはあってはいけないことだと思っています。

橋下氏はこの決定に対して不服申し立てはせず,懲戒処分に服するようですが,残念ながら自らの言動を反省することはないようです。


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